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2014年1月17日 (金)

(少々ネタバレ)ちはやふる126首における純粋と軽率がもたらす功罪に関する、所感。




ちはやふる126首を読了。
今回は名人・クイーン戦第1戦終了後の昼休憩から
第2戦終了までのストーリー。



今回は“あること”によって生じた波紋が、
第2戦のふたりの明暗をわけてしまうこととなるのだが…、
…この事件、今後はたしてどのように展開するのだろう。



以下、ネタバレとなりますので、ご注意下さい。

↓  ↓  ↓





 ○  ○  ○  ○




名人戦・クイーン戦の第1試合が終了。
選手はそれぞれの控え室で第2試合に向け鋭意、休息中。

猪熊さんの控え室には、
山ちゃんこと理音ちゃんが応援に訪れる。


久々に本編登場の山ちゃん。

照れ隠しなのか、桜沢先生に対し、
もののついでに猪熊さんを応援に来たような口ぶりである。

しかし以前と比べ、かるたに対する前向きな姿勢と
勝ちへのこだわりが山ちゃんに芽生えていることを見てとった猪熊さん。



「理音ちゃん、見ててね。  
 
よく、見ててね。」


「たぶん、これが私の最後のクイーン戦だから。」




じぶんと同じ “感じの良さ”を武器としている、山ちゃん。
猪熊さんは、 新しい風に自らの技を受け渡すべく、
全身全霊で勝負に挑もうとしている様子。



その理由とは ―。



*   *   *   *   *


一方、詩暢ちゃん。

猪熊さんとの初戦を振り返りつつ、
振袖をふりまわしながら
「次はこう取る…」とイメトレしながら昼食中。


食べながら腕を振らないよう詩暢母に注意される詩暢ちゃん。
しかし案の定、袖を湯のみに当ててお茶をこぼしてしまう彼女。

あきれた様子の詩暢母は、
よくもそんな重い着物をおとなしく着ているものだ、と、
感心ともなんともつかない言葉を詩暢に投げかける。


じぶんは強いからこのくらい平気だ、
と言う詩暢ちゃんに対し、




「強ぉないと困るわ。日高屋さんも見てはるし。」


「日高屋さんが会長してはる京都反物教会は  
 お母さんの大事な票田やしな。」




その母の言葉を聞き、
瞬間、固まる詩暢ちゃん。


しかしそれに追い討ちをかけるように、
詩暢母は言をつなぐ。




「なんや、その顔。  
 
ただの応援でそないに豪華な着物、  
 孫に買うわけあらへんわ。」


「あの人は政治家で、あんたはきれいな“看板”や。」





彼女も、
あるいは気付いていたのかもしれない。

しかし、
あらためて祖母の真意を母から突きつけられ、
否定したいと無意識に願っていた暗い事情こそが、
じつは動かしがたい事実なのかもしれないという現実に、
これまでになく沈んだ表情を見せる詩暢ちゃん。


…って、この大舞台に真剣に挑んでいる実の娘に対して
なんてことを言うの!この母はっ!


と、 読者はこの場面で激しくツッコミを入れたであろう。
軽率すぎるよ、詩暢母…。




*   *   *   *   *



そこへ、
差し入れを持って千早が詩暢ちゃんのもとを訪れる。


思わぬ人物の訪問に、
ほんの少し表情がやわらぐ詩暢ちゃん。


基本的に感情の所在がわかり辛い彼女ではあるものの、
少し紅潮した面持ちは、
きっと嬉しい驚きを表わしているのに違いない。   



「千早、座りぃ!」



そう言って訪れた千早に座布団を供する詩暢ちゃん。

え。 いきなり呼び捨てなのか。
(詩暢ちゃん、自由すぎる…。)


これまで彼女は千早に数えるほどしか遭遇していないはず。
にもかかわらず、いきなりの詩暢ちゃんの呼び捨て攻撃に、
強引キャラの千早でさえもさすがに引いている…。


イケズを出さずに素のままで
なかばけんか腰に千早と会話する娘の様子をまのあたりにし、
珍しいことだ、とその光景を眺める詩暢母。


千早が来訪した嬉しさへの照れ隠しなのか、
彼女の差し入れたスノー丸どら焼きを
「いただくわ!」と勢いよく開封してみせる詩暢ちゃん。
(千早も嬉しそう。よかったね。)

そして、



「…私も勝ってここに来たかったけど、  
 
東日本予選の日が修学旅行とかぶっちゃって…。」




この大舞台にじぶんがいられなかったことを
無念そうに話す千早。


しかし、
千早のその言葉を聞いた詩暢ちゃんは、
いきなり表情を凍りつかせる ―。



「……修学旅行?」



直前までとはうって変わった冷たい表情で
手にしていたスノー丸どら焼きをぐちゃりと握りつぶし、
怒りもあらわに勢いよく控え室を飛び出して行く詩暢ちゃん。


驚き慌てる、詩暢母。

あまりに突然な出来事に、
打ち捨てられたどら焼きを呆然と見つめる千早 ―。


いったい、 彼女はどうしたというのか…?



*   *   *   *   *



気まずい空気を残したまま、第2回戦が開始される。

休憩時間の出来事で集中力を欠いた詩暢ちゃんに対し、
猪熊さんがじわじわと差を広げて勝ちに手を掛けはじめる。



(おばあちゃんの言葉に  あったかさがあったことなんかない。)


“あんたはきれいな看板や…”


(別に失望もない。)


“修学旅行とかぶっちゃって…”



(ない…なんもない…。)




これまで感じたことの無い喪失感に心を乱され、
詩暢ちゃんの心が暗い淵に沈んでゆく。

ひとりでいい、
心を許せるのはかるただけ。

そう思っていたはずのに ―。


猪熊さんと詩暢ちゃんとの差は
ますます、開いてゆく。



*   *   *   *   *


そんな中、
会心の取りを見せる猪熊さんを見つめながら、
山ちゃんは先の彼女の言葉を思い出していた。


全盛期はこれからよ!と言いたいところだけど、
いま、だけになりそうだから、と。

“いま”全部を出すから見ててね、と言った彼女。




「えらそうだけど、奇跡を起こしたいの。  
 一生かるたを好きでいる女の人のために。」


「3人子供がいても、女王になれるって!」




なんと猪熊さんは、
3人目をおなかに宿しながら

この激しい決定戦に臨んでいたのだった!

母、強し。


一方で、
詩暢ちゃんの不調を目の当たりにし、
千早はあることに気付いて、愕然としてしまう。


夏の高校選手権個人戦で詩暢ちゃんと交わした、約束。

また一緒にかるたをしてほしい、と。
クイーン戦で戦おう、と。
自分から詩暢ちゃんに言ったのに ―。

なのにじぶんは予選にさえ出場できず、
彼女の前に座ることができなかった…。



(…私は、約束を破ったんだ ―。)



自己嫌悪に表情がこわばる、千早。



*   *   *   *   *



じぶんの取りができず、
まったく流れを引き寄せられない詩暢ちゃん。




“あの子は一人になるほど強くなる子や ―。”



ふいに思い出される、伊勢先生の言葉。



それを信じて、ひとりでやってきた。
群れることなく、たったひとりで ―。
…それなのに。




(伊勢先生、うそつきやな。)


(一人になるほど強いんやったら、  
 うちはいま、最強やないんか!?)





そして、心乱れたまま、
ついに負けを喫してしまう、詩暢ちゃん。


はたしてどうなる?第3戦!
ていうか、名人戦をもっとplease!


…そして次号へ続く!



○  ○  ○  ○



今回はクイーン決定戦に懸ける
猪熊さんと詩暢ちゃん、
それぞれの熱の源が明らかになっている。


母となり、制約の多い日常の中にあっても、
かるたを極めたいという強い思いを持ってこれに向かえば、
年齢を重ねることによって獲得した経験値と強い精神力が
経年劣化した身体機能を補うこともできるのだ、
ということを、
クイーン戦というこの場所で、この自分が、
かるたを好きでいるすべての女性に、伝えたい ―。



畳に自ら線を書き入れ客間でのかるたの練習を許し、
じぶんのために昨年にも増して高価な着物を準備してくれた祖母。
これまで感じたことの無かった、家族としての“つながりの感触”。
祖母は…はたしてじぶんとかるたを承認してくれたのか。
このつながりの感触を、勝負に勝つことで、確信してみたい ―。


いずれも、
「じぶんの存在証明」への欲求がその源にあると言っていい。


しかし、
「存在証明」という意味上においては、
今回詩暢ちゃんはあまりにも哀しい状況に晒されてしまった。



重くて動きづらいことが明白であるにも拘らず、
それがじぶんとかるたに対する祖母からの承認の証と信じたからこそ、
身に纏った大振袖。



“じぶんは家族からでさえも  
「条件付き」の承認しか得られないのか ―。”


じぶんから「名前」で呼びかけたいと思わしめた、
かるたへの強い情熱を持った、同級生。
きっと彼女は去年の夏にじぶんと交わした約束を果たすべく、
予選に臨んでいたに違いない…そう思っていたのに。



“盟友だと思いこんでいたのは一方的にじぶんだけで、  
 結局、彼女にとってじぶんの存在など   
 た易く何かに置き換えられてしまう程度のものだったのか ―。” 




「じぶんはひとりでいい。
 かるたが友であれば、それでいい。」



その思いひとつであえて人との距離をとってきた彼女が、
ようやく「ひと」に対して関心を持ち始め、
心を開こうとし始めた矢先の、失望感。


一度に二重の存在否定に直面し、
動揺しない人間など居はしないだろう。

ましてや彼女はまだたったの高校生なのだ。


ただ…。
千早の事情に関する詩暢ちゃんの反応については、
少々幼なかったように思えなくも無い。

(まあ、高校生なぞ精神面ではまだまだ全然こどもなのだが。)


千早にしても、詩暢ちゃんにしても、
互いにかるたに純粋一途であるがゆえのすれ違いであったわけで、
何とかこの点については第3戦までに誤解が解けてほしいものだ。



…にしても、詩暢母はいかん。アレはいかん。
我が子に言うこっちゃない。

じぶんが母に対して持つルサンチマンを
我が子にぶつけてどうするのか。


一番こどもだったのは、
実は詩暢母だったという顛末。



どうか次回はもとの詩暢ちゃんに戻りますように…と
願うばかりである。






















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